下関市民の心の安らぎであり、誇りでもある「旧下関英国領事館」。平成11年5月に国の重要文化財の指定を受けました。
下関市内の国指定文化財(建築物)は、国宝である功山寺仏殿、住吉神社本殿、重要文化財で毛利元就が寄進した住吉神社拝殿に次いで4件目の指定となります。
明治後半、時の駐日英国大使アーネスト・サトウは、成長著しい西日本における外交・経済・交通の拠点である下関に英国領事館を設置することを本国へ具申。明治34年(1901)9月、英国領事館が下関に設置されました。
その5年後の明治39年(1906)、領事業務の拡大に伴い、領事館が新たに建設されました。これが現在の建物で、現存最古の領事館建築物であることに加え、明治期の外交関連施設の典型を示すものとして歴史的価値が極めて高く、国際都市下関を象徴する建造物です。赤煉瓦に包まれた建物は、昭和16年(1941)まで使用され、領事室や領事の居室などに使用された主屋と、使用人室や厨房などに使用された附属屋からなっており、旧下関英国領事館画像設計者は英国工務局上海事務所技師長のウィリアム・コーワンと推定されています。
以前、主屋は市民ギャラリーとして利用され、附属屋は喫茶室「異人館」として親しまれていましたが、耐震のための改修工事もあり、5年半ものあいだ休館しておりました。
この度新たに1階を展示室に2階は喫茶・パブなどの飲食店に、附属屋はギャラリーとして中庭とともに貸し出されることになり、新たな下関の地域活性・観光・情報発信の拠点として期待されています。
旧下関英国領事館は、領事館として使用することを目的に建設された建物としては、わが国現存最古です。
附属屋の2棟を取り囲むように敷地境に廻らされた煉瓦塀など、建物の配置に領事館としての建物の性格がよく表れています。
これらから、明治期の外交関連施設の一典型として貴重とされています。
また、建築年代を記す重要な資料として、「上棟 明治参拾九年八月九日」と記された幣串が附指定となっています。
名称 | 重要文化財旧下関英国領事館 |
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所在地 | 山口県下関市唐戸町4番11号 |
設計者 | ウィリアム・コーワン (英国政府工務局上海事務所建築技師長) |
建築年代 | 1906(明治39)年 [8月9日上棟] |
重要文化財指定 | 1999(平成11)年5月13日 |
主な施設・規模
構 造 | レンガ造、桟瓦葺 本館2階建、附属屋ギャラリー平屋建 |
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敷地面積 | 558.03m² | |
建築面積 | 248.2m² | |
主な施設名 | 建築面積 | |
本館 | 170.6m² | |
附属屋ギャラリー | 77.6m² | |
延床面積 | 410.91m² | |
主な施設名 | 延床面積 | |
本館 | 329.97m² | |
附属屋ギャラリー | 80.94m² |
煉瓦造2階建の本館は、1階を領事や海事監督官などの執務空間に、2階を海事監督官の住居として使用していました。赤い煉瓦と白い石材の対比が美しい外観は、煙突をもつ階段状の切妻壁(ステップ・ゲーブル)や三連のアーチが特徴です。また、室内では暖炉を飾るマントルピースやタイルが印象的です。
本館の北に位置するL字型の附属屋は、厨房、使用人の部屋、石炭庫および便所として使用され、使用人の部屋の一部は、当初は畳敷きでした。煉瓦造平屋建で、外観の意匠は本館にならい、それを簡略化した形です。
【開館時間】9:00~17:00(本館1階) / 9:00~22:00(本館1階以外)
【休館日】2014年9月より毎週火曜日(休祝日の場合開館します)
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